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- エアレックスの過酸化水素除染 -

1. 簡単な過酸化水素除染の歴史

 エアレックスの過酸化水素除染は特にアイソレーター、RABS、PB、室内などの約20年以上の国内トップシェアを支える基幹の国産技術として磨きを続けてきました。今ではこの技術は国内だけでなく、中国、韓国へも合弁会社を通じて導出し、さらに世界市場にも展開を開始しています。

 この除染には様々な手法を用意し、プロセスに応じた選択をしています。例えばフラッシュ蒸発方式、超音波除染方式UltraDecon®など。また除染バリデーションはEI(酵素インジケーター)を加えたBI+EI法、さらに3BIsRなど、より科学的なQRM(Quality Risk Management)で対応し、世界でも最先端のcurrent GMPに対処しています。

除染の歴史を少し振り返ってみます。

世界の過酸化水素除染方式の推移と現状を俯瞰しますと、右図のようになります。

つまりA社のドライ方式から始まった過酸化水素除染は、B社のウェット方式により過酸化水素の凝縮の関与の重要性が示されて以来、主に欧州においてはウェット除染理論が主流となりました。特にドライ方式でも除染場では必ず目に見えない凝縮は発生していることは知られ、菌の除染に凝縮が大きく作用していることの理解が進みました。

ただこの理解には10年近くかかり、今でもセミドライやセミウェットと言った不思議な言葉が使われています。

(エピソード1)

「ゼンメルワイス反射」とは常識や通説とは異なる現象を見てみもなかなか信じたがらぬ人間の傾向のことで、手洗いが衛生管理になると説いた19世紀のハンガリー医師ゼンメルワイスの名に由来します。当時、その主張は否定され、物笑いのタネにされました。もちろん?ガリレイの天動説もダーウィンの進化論も当初は受け入れられなかったのと同じです。エアレックスも英国のワトリング博士と2005年頃、日本各地の製薬各社を講演で回りましたが、博士と各社との議論では、誰もこの凝縮理論に耳を傾けませんでした。博士は「誰も信じなくても構わない。私はガリレイと同じでいつか皆は分かるだろう」言われ離日されました。

2. 過酸化水素除染での合成の誤謬

過酸化水素除染プロセスではそれぞれの測定点での過酸化水素と水のガス濃度や湿度、これらの非定常な気液平衡の表面場での目にも見えない微少な凝縮液の状態がBIの反応、つまり菌の生死に大きく関与しています。

そこでこの機会に、この複雑な過酸化水素除染の姿を整理する。

 過酸化水素除染では、「過酸化水素(ガス状態)の拡散」と「対象表面での過酸化水素水の凝縮」が重要であす。表面に存在する微生物の死滅の大部分は過酸化水素の凝縮による液体との反応に依存すると推測できます。

この表面での過酸化水素水の凝縮物の形成は、表面温度、気相中の相対湿度と過酸化水素濃度、および気流に大きく左右されます。

 この推察への科学的な論理構築には、菌の死滅と過酸化水素の除染表面場での凝縮との関係を正しく精密に理解することが必要です。この凝縮は温度、湿度、ガス濃度、気流など非常に多くの要素で構成されたもので、これらは非定常に変化していて制御は容易でありません。つまりこのミクロ表面場での空気の気流速とその分布、表面を構成する構造物の熱容量の違いなど、複雑で制御などは全く不可能と言えます。

つまり、除染強度を温度、湿度、風速などを組み合わせて評価するにしてもこれは単純場での解で、実際の菌の死滅との関わる各種要因との関係性を合成すると誤謬が生じます。

3. BIの意義と課題について

除染サイクル能力の測定は、基本的にバイオロジカルインジケータ(BI)を用いて実施します。つまり除染強度の測定と判定はBIの死滅に基づき、リスク評価した設置個所にBIを1個設置し生存か死滅(陽性か陰性か)の判定を行います。

しかしそもそもBIのD値は大きくバラついており、稀にRougeの混入もあり容易ではありません。つまりBIを用いた方法では見えないところが多くあり、正に見えない所にこそ真実が潜んでいると思われています。

4. EI(Enzyme Indicator)について

 エアレックスではこの対応としてEI(Enzyme Indicator)を用い、BIでの検証をより科学的に対処しています。

このEIは英国公衆衛生局(PHE)によって開発され特許化されたもので、好熱菌由来の酵素tAKの過酸化水素との反応変化をBIでの除染強度に置き換え計測する。tAKとBIはともに類似の二相不活化側面 (similar biphasic inactivation)を示し、EIではそのtAKの蛍光シグナルを、BI不活化の割合とで相関させることができます。このことからBIの除染強度の推定に使用できる。除染プロセスにおける除染強度を定量化でき、最適サイクルの開発、また科学的で迅速なバリデートが短時間で可能となりました。

5. エアレックスUltraDecon®方式について

この25年以上、世界では様々な方式の過酸化水素除染が考案され、今でもその途上にあります。蒸気滅菌や乾熱滅菌などと比べ、全く情けない状況と言えるかもしれません。

エアレックスでは、この過酸化水素除染の非常に面倒な課題を克服する超音波を用いた除染方式UltraDecon®を世界に先駆けて開発しました。商品名UltraDecon®でこれはGMPの世界で著名なUKのGordon Farquharson先生によるものです。

この方式は常温で非常に少量の過酸化水素水でありながら確実な除染が達成できます。除染サイクル時間も短く、EIとBIを用いることで科学的なQRMでのパラメータ開発ができます。

すでに多くのアイソレーター、パスボックスへの実際の搭載が国内だけでなく、海外でもスタートしています。

(エピソード2)

2005年、ケプラー所縁の地プラハの国際会議で凝縮除染について講演しましたが、S社の聴講者が否定的な見解の質問を浴びせられました。その時たまたま同席されていた恩師のスイスのシヒト博士(2018年ご逝去)が「凝縮が重要であることは明らかだ、分からなければ即刻米国に帰れ」と援護して頂き、近くのワトリング博士がニヤッと笑っておられたことを今懐かしく想い出します。

UltraDecon®の超音波除染でも新しい真実は無いと考えています。しかし新しい技術であることは確かで、今までになかった結果からこれを利用することで、新しい除染理論の扉を少し開くことができたように思います。

※詳しくは、弊社までお問い合わせ下さい。Webでのご説明、試験も承ります。

6. 室内除染 スーパーでこん太®

 エアレックスは日本製で国内一の実績を誇る可搬式過酸化水素除染ユニット「スーパーでこん太®」シリーズをさらにコンパクトにブラッシュアップし、ワイヤレス型・LANケーブル型・天井型など次々に開発し市場に投入しました。大好評で今では、国内だけでなく、海外にも輸出して、成功裏に収めています。

 対象は5m3から10,000m3以上の大規模なクリーンルームまで、幅広い実績があります。

 これらの成功の背景は、確実な除染が可能ながら内部の腐食リスク、ストレスを排除するパラメータ開発と管理ができているからです。

 勿論、500を超える各素材、例えば自火報、カメラなども含め過酸化水素とのコンパチブルデータもそろえて対応しています。さらにチャタテ虫や真菌などへの効果の研究成果の発表も海外で行っています。

 エアレックスでは医薬無菌製剤施設に対して圧倒的な実績を有していますが、最近では遺伝子組み換え実験施設、動物実験施設などへの納入も進んでいます。



スーパーでこん太®シリーズ

ダクト工事も空調工事も不要です。

無菌室の外からガスの発生、分解を無線で指令。内部の状況も遠隔で取り込みます。

可搬型スーパーでこん太®

コンパクト、シンプル、自在設置、経済的な可搬型Typeです。ワイヤレス、またLANケーブルなどで運転、濃度などの監視もできます。

天井スーパーでこん太®

天井部に過酸化水素発生分解装置を一体化したものです。過酸化水素は非無菌エリアから供給しますが、その配管は6㎜と細いもので、施工も容易です。

その他のシステム製品を準備

様々な発生、分散、分解装置を準備し、実際の状況に応じた最適な計画をご提案します。

  1. 空調系統と組み合わせた除染システム
  2. 空調系統と縁を切った除染システム
  3. ダクト系に納めたシステム
  4. 除染パスボックスと組み合わせたシステム

※詳しくは、弊社までお問い合わせ下さい。除染試験も承ります。


※ご注意!

内部を不飽和、またはドライ、さらにはセミドライとなるように自動制御されたシステムであっても、過酸化水素ガス除染において床の変色、壁の気泡などトラブルが発生しています。

単に過酸化水素ガスであれば錆びないということではありません!

また、不飽和であれば問題ないというものでもありません!

高い除染性能、再現性を維持し、かつ腐食などのトラブルを回避することは容易ではありません。

7. C過酸化水素システム除染

エアレックスでは,既に様々な過酸化水素除染システムをご提供しております。

■除染対象 ■用途
滅菌済み容器(シリンジ、バイアル瓶など) 無菌製剤工程、および無菌室
パーツ、機器関係 生物製剤工程および無菌室
ガスケット、キャップなど 無菌バルク製剤工程および無菌室
バルク缶 治験薬製造工程および無菌室
医療器具 無菌試験室
培養容器 再生医療、組織培養工程での滅菌
無塵衣 医療器具の滅菌
※以上の収納バッグ 院内製剤工程での滅菌
動物実験舎の滅菌
無塵衣の高度除染など
  1. 6LRDの微生物除染をバリデーション
  2. 低温での除染
  3. 全自動で安全な運転
  4. 各項目のモニタリング管理、記録
  5. 人や周辺環境への配慮が容易
  6. 室内除染との組み合わせも検討可能
  7. 既設のパスボックス、エアロック設備への対応も検討可能

8. 連続式過酸化水素システム除染

エアレックスでは超音波除染UltraDecon®の開発により、過酸化水素除染システムをさらに進化させています。その一つの代表は世界初の連続式過酸化水素除染システムです。

短時間で大量、高速の生産ラインでの滅菌済み容器、袋のGradeA域のアイソレーターやRABS、無菌室への搬入のための外装除染に適しています。

※詳しくは、弊社までお問い合わせ下さい。除染試験も承ります。

9. エアレックス包装内過酸化水素ガス除染装置

 エアレックスは業界No1の無菌アイソレーター、室内除染などにおいて豊富な過酸化水素ガス除染技術の研究とその展開、応用を推し進めています。

 この技術開発の成果として、ブリスターやピローなどで包装されたシリンジやその他の資材を外部からの過酸化水素ガスで内部を除染で、すでに各社に納入しています。除染工程は全て全自動運転され、低温で除染できます。

10. 低電圧電子線滅菌システム

 エアレックスでは低電圧電子線を用いた表面滅菌技術SmartEBRを開発し、シリンジタブのアイソレーターなどの充填ラインに滅菌搬送するシステムをすでに納入しています。

 さらにバイアル容器そのもの無菌充填前の連続式滅菌という世界初のシステムも納入、ご運用して頂いております。

 このように、容器、ガスケット、キャップ、工具類といった資材の無菌搬送に適用することもできます。このSmartEBRの利点としては下記が挙げられます。

  1. 短時間(瞬時)での常温滅菌
  2. サイクル時間は数分
  3. 運転管理が容易
  4. バリデーションも簡単

※詳しくは、弊社までお問い合わせ下さい。除染試験も承ります。

11. Actini社連続式生物製剤廃液処理システム

 エアレックスは世界トップシェアのフランスActini社の生物製剤廃液処理システムの日本総代理店として、ワクチンなど生物製剤プロセスや生物由来実験室などからの廃液の滅菌処理システムを輸入、圧力容器受験、据付、バリデーション、保全を行っています。 すでに20t/hの世界最大規模の施設を納入しています。

 廃液はワクチン、ウィルスやバクテリアなどで汚染された廃液などを加熱滅菌するものです。BSLは1~4まで対応できます。Actini社の滅菌システムは世界トップの実績とシェアから、以下のような大変豊富なレンジの製品群を準備しています。

(1) 処理対象例

  1. COVID19
  2. Influenza(インフルエンザ)
  3. Prions(プリオン)
  4. Avian flu(鳥インフル)
  5. API(Ankle pressure index)
  6. Cell strains
  7. Bacteria(バクテリア)

(2) 連続式加熱滅菌処理

  1. 処理時間の大幅な短縮
  2. コンパクトな装置構成
  3. Utilityは電気式、蒸気式何れも可能
  4. 低い消費Utility(バッチ方式の1/4~1/5です!)
  5. サイクルの自動制御
  6. 低いメンテナンス負荷

(3) バッチ式加熱滅菌処理

  1. ジャケット加熱、冷却のシステム化により連続式相当の効率化を達成(PAT)
  2. 攪拌、低音、蒸気直接吹込み方式の採用(PAT)
  3. コンパクトな装置構成
  4. サイクルの自動制御
  5. 低いメンテナンス負荷

(4) 能力 100~30,000 l/h


※詳しくは、弊社までお問い合わせ下さい。シンク式小型装置もご紹介できます。

12. ACTINI連続滅菌システムUHT(Ultra High Temperature)滅菌、HTST(High Temperature Short Time)殺菌技術

エアレックスはフランスActini社と協力し、F0値の考え方を用いたUHT/HTST滅菌・殺菌装置の国内への導入を開始しました。本装置は滅菌培地、培養液等の直接人体に投与しない製品で、現状ではバッチ処理で高圧蒸気滅菌やフィルター滅菌している製品やプロセスには非常に効果的な手法です。Foを基本とし論理的でバリデーションできますので技術的に受け入れ易く、すでに欧米の大手製薬会社では採用されています。

特に低ランニングコストで、スケールアップの観点から、抗体医薬、細胞医薬、再生医療用途で有意な技術と考えます。なおActini社の微生物汚染廃液処理装置は世界のシェア7割以上あり、日本国内でも既に生物製剤での廃液処理として1ton/h~20ton/hまでの装置が稼働しています。

  • 培地溶液(寒天培地、グルコース溶液、プロテイン等)
  • 発酵産物
  • 活性成分(ペプチド、インシュリン等)
  • 医薬品溶液、クリーム (目薬、非経口栄養輸液等)

これら製品に対する情報、技術などに関する貴社からのお問い合わせをお待ちしております。

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