エアー(空気)管理システムの設計/施工/運用/トータルエンジニアリング

 

- Airex RABSについて -

(Restricted Access Barrier Systems)

1. エアレックスRABSに関する考え

 日本でも無菌製剤工程でのバリア技術の選択はアイソレーターが第一となりました。一方でRABSの採用もなされています。その理由はいくつかありますが、エアレックスではアイソレーター技術で培った技術をRABSにも搭載しています。

 ところで凡そ2000年頃のラミナー装置の間仕切りはPVCフィルムが主流で、その後徐々に透明樹脂板の採用が増えてきました。

 RABSはアイソレーター技術のいくつか課題から考案されたものですが、その解釈が広く、また難しいことからISPEなどによる定義付けがなされ、その延長で進展していますが、なお広義な部分があり注意が必要です。つまりラミナー装置にグローブやハーフスーツをつければRABSになるということにはなりません。

 長期の運用、規制への対応なども考えると、ケースによってはRABSの方がアイソレーターより総合的な投資が高くなる場合が多いと考えてられています。


RABSの定義抜粋

FDAの監修によりISPEによるRABSの定義が2005年に発行され、これは今でもあまり変化がありませんが、グループ検査は機械的試験の要求がかなり強くなってきているようで、注意が必要です。

  1. 作業者から無菌操作部を完全に分離すること
  2. 重要エリアにはISO5清浄度、気流、風速を維持する
  3. グローブ、ハーフスーツ、自動化設備などを装備する
  4. 扉インターロック、記録をつける
  5. Annex ISO5エリア(またはサポートAエリア:この呼称は2009 AirexがFDAに質問した時に得たものです)を設置する
  6. 製品に接触しない部分は高度な殺菌、殺芽胞を行う
  7. グローブの滅菌を行う
  8. グローブの完全性を確認する

これらの条件を満たし無菌操作を行うことで、低頻度に扉の開閉を可能としていますが、最近ではその頻度については、ほぼ開けることは許容しない、また開けた場合の管理、処置、記録などの要求が出てきています。

 エアレックスのRABSはこのような要求に的確に答ええる高い性能、システム、融通性、さらに意匠面でも優れたものとしており、無菌製剤(液剤、バルクなど)などの各種プロセスにおいて抜群の実績を積み重ねております。

 特にあるのは、Closed-RABSによる過酸化水素単独除染システム対応です。エアレックスではこれに対し最近では超音波除染UltraDecon®を採用し、わずかな過酸化水素で確実な除染を短時間で行えるよう対応しています。

2. CGスクリーン® CGディストリビュータ®

 CGスクリーン®はスイスチバガイギー(現ノバリティス)が開発したもので、商標は現在エアレックスが保有しています。空気のスクリーン通過自のRe数が2程度で、気流性状は完全な層流域になります。一方パンチング板で目開きをμオーダーではできませんで、数ミリとなります。この時のRe数は104を超え、完全な乱流となります。

これは吹き出しでの状況を見たものですが、CGの場合、抵抗は10~20Paとなり、パンチング板では10Pa以下です。この抵抗の違いが、吹き出し下での風速分布に影響を及ぼします。特にパンチング板では上部のHEPAの吹き出し空気がパンチング板では整流しきらず、風速分布が悪く、また一方向気流を不安定にさせます。

GMPでの風速分布の要求が厳しくなっており、現状では世界の多くがCGスクリーン®を採用しています。(せざるを得ないはずです)

このCGスクリーン®によってようやくc-GMP,EU-GMP,J-GMPなどの各国、各機関の要求する風速分布のバリデーションに対応できます。

  1. 気流清浄は非常に優れた、業界No1のラミナー性を誇ります。この均一な風速分布は苦節40年の経験と実績によるものです。
  2. 照明の内蔵が可能です。照明による気流の乱れがなく、眼に優しい無影光照明となり、目視検査、意匠面でも好評です(無影光:手術台などで使われる照明も同様です)
  3. 吹出し形状、サイズの制限が少なく、様々な吹き出し(風速なども)の計画ができます。
  4. HEPAの庫内側からの汚染を防ぎます。

※ご注意

  1. 層流とは学問的には下図のようにRe数が100を切った気流となります。今回は吹き出し部の局所ミクロ場で説明できるものです。
  2. 一方吹き出し下の空間は大きな空間であり、吹き出し部で層流であってもRe数で表現すると乱流域となります。
  3. 従い、従来の層流ラミナーとの表現は間違っていることから「一方向気流」と学問的に正しい説明がベースになっています。

3. i-LABS®の提案

今後はアイソレーターかRABSしかないといわれています。しかし、従来のLABS(Limit Access Barrier System)は今後も生き延びることが可能でしょうか?

エアレックスはi-LABS®を提案しています。これはLABSにRABSの優れた概念を取り入れたもので、特に既設のラミナー装置をRABS化する過程(レトロフィット)には有効と考えており、すでに多くの製薬会社に導入されています。

4. iTotal® アイソレーター、RABS管理情報トータルロギングシステム

しかしこのi-LABS®についてもRABSについても、やはりシステムの堅牢化要求は一層高まっています。特に加えDI(Data Integrity)への対応は必要です。エアレックスではこのような状況に鑑み、iTotal®をお勧めしています。これはRABSのDIの見える化推進と言えます。

 FDAへのMarch 2020 Reston ISPEでのAirexからの質問とその回答は以下です。

What do you think about employment of video recording in isolators for process control? There’s a company who utilizes video recording of glove operation, environment monitoring, etc. for risk […]

• Encourage use of video recording


• Helpful in sterility testing and investigations

iTotal®はアイソレーター、RABS運用に関する情報(作業者、作業内容(クリティカルエリア作業、グローブ操作、RTP操作)、各種アラート情報(RMMを含むHVAC、EMデータ)に、カメラ記録を加えた統合した管理システムです。画像による品質管理の回顧分析が容易となります。またSOP管理強化ができます。

ソフトでのDI管理にカメラ情報の回顧を加えることで、製造管理の見える化を一気に推進することが可能となります。

 なおこのiTotal®には迅速モニタリングシステムRMMが追加でき、すでに実運用がスタートして、この背景には以下のGMP上での理解や推進があり、これに応えるものです。

Annex1 (2nd edition for public comments) EU-GMP Manufacture of Sterile Procedure

9.30 Action limits for viable particle contamination are shown in Table 7

T class="pic"able 7: Maximum action limits for viable particle contamination

(b) It should be noted that for Grade A, any growth should result in an investigation.

Note 1: It should be noted that the types of monitoring methods listed in the table above are examples and other methods can be used provided they meet the intent of providing information across the whole of the critical process where product may be contaminated (e.g. aseptic line set-up, filling and lyophilizer loading).

Note 2: Limits are applied using cfu throughout the document. If different or new technologies are used that present results in a manner different from cfu, the manufacturer should scientifically justify the limits applied and where possible correlate them to cfu.

本ドキュメントを通じて基準値をcfuで示しているが、別の技術が応用され、cfuではない方法の基準値が科学的根拠に基づき、cfuとの相関性があることを示すことを求められる。(つまりcfu以外に置き換えてよい)


10 Quality Control (QC)

10.10 Environmental monitoring data and trend data generated for classified areas should be reviewed as part of product batch certification. A written plan should be available that describes the actions to be taken when data from environmental monitoring are found out of trend or exceeding the established limits. For products with short shelf life, the environmental data for the time of manufacture may not be available; in these cases, the certification should include a review of the most recent available data. Manufacturers of these products should consider the use of rapid monitoring systems.

環境モニタリングデータとトレンドは、製造バッチの承認要素としてレビューされるべきである。

有効寿命が短い製品では、生産中の(培養による)環境データが間に合わない。これら製品の生産者は、迅速モニタリングシステムを利用することを考慮すべきである。

 iTotal®(アイソレーター、RABS管理情報の見える化システム)は、アイソレーター、RABSの種々のEMデータに、運用に関する情報(作業者、作業内容(クリティカルエリア作業、グローブ操作、RTP操作)、各種アラート情報(RMM、PC))にカメラ記録の分析対応が可能となります。

具体的な操作のビジュアルな回顧分析を可能とし、運用課題の確認、SOP改訂強化などができ、DI管理にカメラ情報を加えることで、製造管理の見える化が推進され査察での対応が容易になります。また遠隔監視、保全補助への対応が準備できます。勿論、無菌アイソレーター、RABSに関わらずその他のプロセスにも対応できます。

 ※このiTotal®は実際に運用がスタートしています。是非、お問い合わせください。

5. 移動HEPA台車 グレードAとグレードAとをグレードAを維持して結ぶ

エアレックスでは、様々な工程に応じたこれこそ医薬品製造でのクリーンHEPA移動台車と評価されるものを製作、納入し、米国での発表も行っています。

 本装置はGradeAを維持した状態での滅菌物の移動搬送が可能です。

    (1) 機能
  1. GradeAクリーン度を全行程で保持
  2. 自由な移動
  3. バッテリー駆動
  4. 発塵物質侵入防止-二重陰圧構造
  5. 免震構造
  6. バリデーションへの確実な対応

    (2) 適用工程
  1. アンプル、バイアル充填~集積~凍結乾燥機への移載
  2. 滅菌済みゴム栓の充填機フィーダーへの移載
  3. 滅菌済み充填部品、フィーダーなどの充填機への移載
  4. 滅菌済みゴム栓の取り出しと移載
  5. バルク缶への充填と移載

<例1>充填済バイアルトレイの凍結乾燥機まで搬送、ローディングのためのクリーンHEPA台車です。接続部はGradeAのサポートエリアが設置されています。(PAT)

<例2>滅菌済ゴム栓専用の移動、投入クリーンHEPA台車です。ゴム栓滅菌機~充填機のパーツフィーダーまで移送し、半自動でゴム栓を投入します。 この装置は人の直接介在がなく、既設の課題を解消できると大好評、すでに多く実績があります。(PAT)

6. Automatic Microbiological Monitoring System.ドイツMOTUS社の自動培地セット回収システムの販売開始

GradeA内でのEM培地のセットと回収は悩ましい課題です。エアレックスはドイツのMOTUS社のパッシブ自動微生物学的モニタリングシステムの国内導入を開始しました。

本装置は、培地プレートをバッファー部に設置した後、自動的に測定位置に供給され、蓋開放、その後の閉止と回収を完全に自動的作動できます。HMIを使用した自律制御も可能でバッチ レポートと監査証跡が作成できます。

※オーダーメイドで対応致します。是非、お問い合わせください。

これら製品に対する情報、技術などに関する貴社からのお問い合わせをお待ちしております。

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